白夜行 東野圭吾

この時期まで野球が見られる事に幸せを感じるロッテです。前回から大分時間が経ちご無沙汰な感じではありますが…
もうすっかり寒くなって秋はどこ行ったって感じで寂しいです。好きな季節なのにね。


さて、今回紹介するのはこの作品

白夜行 (集英社文庫)

白夜行 (集英社文庫)


前回紹介した「もしドラ」は酷評の嵐だったが、今回はその対極の評価をしている本を紹介。このレビューはあまり長々とするつもりはないです。とにかく読めば面白さが分かる本なので。


東野圭吾といえば本好きなら誰もが知っている有名な作家だが、その中でもこの作品は最高傑作と言っても過言ではないと思っている。既にドラマ化はされており来春には映画化もされるとのこと。ドラマは脚本の関係でネタバレが激しく原作レイプちょっと残念な感じ。映画化はどうなるか分からないが、映画もドラマも見る前に是非綿密に練られた構成の小説を読んでほしい!
 
 ストーリーは主人公の雪穂と亮司の小学校時代から19年間を描いたもの、これでストーリー紹介になるかって話だけどもうこれ以上の紹介は楽しみを削いでしまうのでいらない。この19年間を膨大な登場人物と客観的な視点で表現する様は見事。雪穂と亮司の心情描写がほとんど主観ではなく他の登場人物の視点で描かれる点が他の小説とは一線を画する。終始鬱々とした雰囲気が続き正に「白夜行」といった人生を歩んでいくが、読み始めれば吸い込まれるように読む手が止まらなくなるだろう。本当はもっと書きたいけど予備知識がない状態で読む方が何十倍も引き込まれる。この手の小説を普段読まない人でも読後感はともかく夢中になるはずだ。

追伸 もしドラが来春まさかのアニメ化ということで非常に楽しみにしています。好評だったら本スレ荒らすわ 
次は時代物、ラノベ辺りに挑戦してみますかね。

マリアビートル 伊坂幸太郎

お久しぶりです。もっさんです。
今回紹介させていただくのはゴールデンスランバー以来3年ぶりの書き下ろし長編という(本帯より)
伊坂幸太郎さんのマリアビートル。

マリアビートル

マリアビートル

舞台は東北新幹線。息子に重傷を負わせた中学生・王子に復讐しようと元殺し屋・木村が彼を追って新幹線に乗り込むところから物語は始まります。そしてその車内には人質と金を護送する2人の殺し屋、蜜柑と蜂蜜、そしてその金のはいったトランクを盗むよう指示される殺し屋、七尾。彼らがそれぞれの目的を果たそうとするとき次々とアクシデントが起きる....
読み終わった後率直に思ったのは
これぞ伊坂幸太郎だ! 
ってことです。
彼はゴールデンスランバー以降の作品を第2期作品と位置付けているそうなんですが(あるキングやバイバイ、ブラックバードなど)
今回の作品は伊坂幸太郎さんのファンが彼にほれこんだ要素の1つであろうあの「伏線を多く張って終盤に回収していく」というところを存分に楽しむことができます。グラスホッパーの続編ともいえるこの作品ですがこの一冊に伊坂幸太郎のエンターテイメント性が凝縮されているような印象を受けました。
先に書いた登場人物を見ていただければわかるように設定はかなり物騒です。王子っていう中学生には本気で腹立ちます。そして王子に騙されてしまう大人には情けなくなります。蜜柑と蜂蜜の関係性はなんだかほのぼのします。七尾にはしっかりしろっていいたくなります。ついでに物騒な人物設定ですがいつのまにか楽しんでいる自分と出会えます
本作品は一応グラスホッパーという作品の続編といわれていますがもちろん読んでなくても楽しめます。
しかし伊坂ワールドは作品でつながっています。もちろんグラスホッパーとマリアビートルは前者を読んだ人にしかわからないつながりが存在しています。なので両方読むことをおすすめします(笑)
本作品が伊坂デビューとなる方も元々どっぷり伊坂ワールドにハマっている方も楽しめます、絶対。

夏と花火と私の死体

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

ホラーでドキドキしたのは久々かも。というか本作はサスペンスというほうがいいのかも知れません。
「さみしさの周波数」を読んで以降敬遠していた乙一でしたが、今作は意外と楽しめました。
ストーリーはとても簡潔。殺してしまった少女の死体を必死で隠そうとする、小学生の兄弟の物語です。
個人的には、やはり死体隠しの追っかけっこが面白かったと思います。死体を隠す→見つかりそうになる→死体を移す、という簡単なサイクルのお話なのですが、書き方が上手なのでしょう、やっぱり面白いと感じました。見つかりそうで、ギリギリ見つからない。もう駄目だ、という状況で、ギリギリ勝ちを拾う。その紙一重の感じがたまりません。
ただ、乙一の作品でいつも思うことなのですが、オチでいまいちオチていない感じがするのですよね。そこがただただ残念です。伏線がストーリーと絡んでないように思うのです。どうしても。
ところで、この本の特徴的な人称については、巻末の小野不由美氏が非常に分かりやすく解説してくれてます(そしてその指摘は非常に的を射ています)。なのでその解説を読んでから、本編をもう一度読み返してみると、一度目とは違った印象で楽しめるため、一度で二度おいしい作品となっています。

そしてもうひとつ。実を言うと私自身は本書に収録されているもう一つの作品「優子」の方が断然面白いと思っています。純和風のホラーで、モチーフも良く、無駄がなく、理路整然としていて、きれいに怖い話として仕上がっています。ミステリファンには、少し物足りないかもしれませんが、読んで損はない作品です。

by蓬莱ニート

キノの旅14

1年ぶりの新刊、キノの旅14冊目。旅人キノたちが訪れた色々な国の話が1冊につき10話ほど書かれている。

どの国も独自の文化や普通では考えられない風習を持っており、内容が重い話では自分の常識を疑ったり考えさせられたりしたときもあった。

どの話も結末が予想できないため、読み終わって「あー納得」とか「そういう結末か」とか感心すること間違いなし

今回はTwitterがテーマだと思われる「呟きの国」ほか全十三話が収録されている。以下読んだ感想
「正しい国」は実際にありそうで怖い。一昔前の戦争ってこんな感じで始まったのではないかと思う。
寄生虫の国」には俺は住みたくない(笑)
「結婚の国」がの落ちが的を得ているような気がした。結婚できないときの罰が気になった。

この巻で1番好きなのは「亡国の国」。国に着く前の会話の答えが国を出たときに示されており、うまくまとめた感じがとても好き。

短編ゆえに内容を書くとネタバレになりかねないのでこのくらいで。
友蔵部員はぜひ読むといいよ。

キノの旅 14―the Beautiful World (電撃文庫 し 8-33)
キノの旅 14―the Beautiful World (電撃文庫 し 8-33)時雨沢 恵一 黒星 紅白

おすすめ平均
stars十周年おめでとう
starsシニシズム的語り口
stars最近の「キノ」は風刺もの

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by ミスマルカ

 私は目を疑った。冒頭から木が空を飛んで敵軍をなぎ払ってる。「まあ、アイヌの伝承だし……」と油断してはいけない。この鳥飼否宇という作家、wikipediaに躊躇なくバカミスを書いていると断言されるほどの人物である。過去作で冷凍イカの投擲による殺人なんてことをやらかした作家である。冷凍イカでの刺殺は相棒でもやっていたが、なんせ投擲である。人体を貫通して背後の水槽に落ちる威力。鉄甲作用。体は剣で出来ている。いやああれは傑作だった。いつかレビューを書こうと思う。
 閑話休題。今回紹介する「樹霊」は、過去作である「中空」「非在」と世界観を共有している。読まなくても問題ないが、読まないと探偵の登場に少々唐突さを感じるかもしれない。さてさて、ストーリーだが、アマゾンから引用する。

植物写真家の猫田夏海は北海道の撮影旅行の最中、「神の森で、激しい土砂崩れにより巨木が数十メートル移動した」という話を聞き、日高地方最奥部の古冠村へ向かう。役場の青年の案内で夏海が目にしたのは、テーマパークのために乱開発された森だった。その建設に反対していたアイヌ代表の道議会議員が失踪する。折しも村では、街路樹のナナカマドが謎の移動をするという怪事が複数起きていた。三十メートルもの高さの巨樹までもが移動し、ついには墜落死体が発見されたとき、夏海は旧知の“観察者”に助けを求めた!“観察者”探偵・鳶山が鮮やかな推理を開陳する、謎とトリック満載の本格ミステリ

 と上記のように謎とトリック満載の本格ミステリであるらしい。巨樹が移動し、辺りに一抹の不安を残しつつ読み進め……いや、大嘘である。私はちょっとは鳥飼否宇のことを知っている。お前夢でもみたんだろハハハで終わる作家ではない。もう間違いなく巨樹は移動してとんでもないことをやるのを確信しつつ読み進めた。ら、街路樹は勝手に動き、巨木が山の斜面を駆け上がり、挙句の果てに
霊樹が突進して ラ リ ア ッ ト で人を殺していた。
 ネタバレであるが、殺人の偽装工作ではない、ガチである。ちなみに本作は謎とトリック満載の本格ミステリである。
 あまりの光景に「もうゴールしてもいいよね……」という言葉と共に本をカバンにしまってゾロアークの孵化作業に戻りかけたが気をとりなおして読む。

 するとどうだろう、探偵が登場してからというもの、あらゆる謎、というか不条理といって良いレベルの出来事が理路整然と解決されていく。人為的なものであるにしては目的が全くわからない謎の数々を完璧に解き明かし、犯人を指摘するシーンで私はこの作者は天才であるということを再確認した。
 本作の難点としては、鍵の在処とか自殺か他殺かとか、登場人物たちの行動原理など、そういういわゆる本格ミステリっぽい仕掛けが霊樹ラ リ ア ッ トにぶっ飛ばされて大して興味を持てないことだろうか。割とよく練られていると思う。あと、犯人の指摘がほぼ不可能というのもマイナスポイント(あれ黙秘されたら決め手無いよね?)。
 犯人の動機についての探偵とのやりとりは思わず感心した。某団体にきいてもらいたいわホント。
 いろいろ言いたいことはあるが、木々が動きまわるとんでもないトリックを完成させた本作は間違いなく傑作である。

ところで記事のタイトルがバグってるんだが何が原因だろうか……。


ちなみにゾロアークだがめざパ氷67で妥協した。サンダースの10万をギリギリ耐える個体値しか無いがまあ満足。

byアヤメ

月と六ペンス 著・サマセット・モーム 訳・厨川圭子

 ども、浮浪者です。暑さ寒さも彼岸まで。一気に寒くなってきましたね。こんな日は鍋喰ってさっさと風呂入って寝るに限ります。そして、昼間まで寝るという(笑)。こんな生活のペースで10月から始まる学校にちゃんと出られるかが心配です。

はじめに

 さて、今回紹介&ちょっとした感想書かせてもらうのは、「月と六ペンス」という作品。画家のゴーギャンをモデルに書いたもので1919年に出版されたモーム出世作モームは短編「」なんかも有名らしく、それを5月の大友蔵で書評を書かせてもらいましたけど、新潮の訳が正直ひど過ぎてホントのこと言っちゃうと、こっちを紹介したかった。
 この本との出会いは去年の5月。友蔵に入って最初の冊子を作って次に書くやつ何にしようかと思い、ふらりと帰り道に近所の本屋で見つけた。海外作家コーナーの中で題名がひと際かがやいて見えた。月とスッポン的な意味なのかな? と手に取り10ページくらい読み進める。皮肉で一杯の文。悪くないな、購入決定っと。こんな風に買ったら大体の場合、いわゆる積読にしてしまうのが僕の常なもので、今年の4月まで放置してしまっていたんです。いやあ、GEOっていいところですね
そんなこんなで忙しく(えっ? DVDばっか観てたのに? 去年の5月に購入して、今年の4月に読み始め、7月の中頃に読了、そして9月の末に書評を書く。約一年の時を超えてようやくこの作品に対しての感想を書くことができ、まことに感動しておるわけです。(棒

読んだ感想(私的、あるいはエンターテイメント的な

 主人公のストリックランドを始め全体的にエゴがむき出しの登場人物が多くて、性善説を疑いたくなる程だったけど、そこがなかなか痛快で面白かった。例えば「もう奥さんを愛してはいないのですか」と聞かれて「ぜんぜん」と答える場面。ストリックランドさんのビッグマウスっぷりに失禁しそうになる半面、妙にその残忍さが真理を言い当てているような気がしたのだ。ストリックランド婦人の世間体をしつこく求める醜さや、ダークの滑稽な情熱に代表されるように、社会的に善き人とされている人物の弱さを書いていて、それに対して残酷な仕打ちをやっていくストリックランドが妙に魅力的だった。それは、もしかするとその残酷さがとても純粋に見えるからなのかもしれない。
ウィキによると「自分は批評家たちから、20代では残忍、30代では軽薄、40代では皮肉、50代では達者、現在60代では皮相と評されている」と先生は仰っていたそうなので、自分は年相応の考えなんだなと少し安心した。

テーマとかを予想してみる。

 読み終わり、全体から考えさせられたのは、同情についてだ。一人の画家が自分の表現したいものに行きつき、そして死ぬまでを書いた作品だから当然なんだけどストリックランドに関わった沢山の登場人物が出てくる。彼らの目線からストリックランドが語られて物語が進んでいく。最初は平凡でつまらない無愛想な人間として、次に家庭を捨て、人としての情も捨てさりキャンバスに向かう鬼として、最後は束縛の多い西欧社会から飛び出し、自分の魂あり様そのままで生きる自由人として語られている彼。一見すると悪いやつとして語られているが、しかし、そのどれもが彼に対するある種の同情があるのだ。
 それは真理に対する興味を絶やさない人間に対する、雲のようなそれを追い続ける人間に対する同情なのかもしれない。
 評価
この作品に出合えて良かったと心から思える物の1冊[rakuten:book:13116706:detail]

春が嫌いになった理由

はじめまして。もっさんです。約束の日から大分遅れてしまいましてすいません…(汗)こちらのブログでは堅苦しくなくさらっと読んでいただける文章に個人的にはしたいと思うのでよろしくお願いします!


さて今回はじめてブログで書評を書くにあたって選んだ本が誉田哲也さんの春が嫌いになった理由(わけ)という本です。

春を嫌いになった理由(わけ)

春を嫌いになった理由(わけ)

この方の作品は基本的にいわゆる男前な女性が主人公で(さっぱりとした性格)警察小説でさらに殺人がグロテスクなものといいきってもいいほどある意味似たり寄ったりな設定なわけですが
今回の作品「春が嫌いになった理由」の主人公はフリーターの瑞希がテレビプロデューサーの叔母から霊能力者の通訳アルバイトを依頼されたところからはじまってその霊能力者の透視通りに死体が発見されるというのがざっくりとした内容です

正直言って私は同著者のストロベリーナイトの方が好きでした。まあそもそも霊とか透視っていうのに抵抗があったからかもしれませんが。
作品の中では伏線とかも張ってるんです。一応。でも伊坂幸太郎ファン的には伏線が甘いというか驚かないんですよね。想定範囲内ですね。
しかもオチにも納得いかなかったです(意外とAまぞんでは数的には少ないものの高評価で驚きましたが・・・)

しかしこの本のいいところはジャンルはミステリー・主人公が女の子・舞台はテレビ制作というところからしてもいい意味で読みやすいのです。難しく考えることもないし読書が苦手っていう方にはぜひともおすすめしたいのです。(私も実際この著者の作品で読書熱が再燃しました)
私の周りでも読書をはじめたいからといっていきなり文豪作品とか読んで挫折した人も結構いてよくおすすめの本を聞かれるのですができるだけ読みやすい本をどんどん読んでってってアドバイスするようにしています。

と話が脱線しましたが意外と読み易くてもこの作品の背景にある問題・犯行が大きくて驚くかもしれません。さらに冒頭からグロいので拒絶されてしまう方もいらっしゃるかたとは思いますが一度手にとって見ていただければなと思います。

内容がない書評となってしまいましたが1回目なので多めにみてください><
次回までに精進しておきます!


参考

ストロベリーナイト (光文社文庫)

ストロベリーナイト (光文社文庫)


by もっさん