ハサミ男

今日は横浜国立大学の大学祭である清陵祭の最終日でした。
われらが友蔵は参加しませんでしたが、私自身は他の兼サーの企画に参加していました。
いやー楽しかった。カビゴン対策を63で落とすのは愚かでした。

今日の書評は殊能将之の「ハサミ男

ハサミ男 (講談社文庫)

ハサミ男 (講談社文庫)

ハサミ男 [DVD]

ハサミ男 [DVD]

メフィスト賞出身というとイロモノばかりだと思われているがーそしてそれは大体あっているのですがーこの人はガチですね。
私はこの作品をDVDから見始めたという超異端児なのでDVDのほうも張っておきました。評価みれば解ると思いますが星5と星1に固まっています。賛否両論分かれているのは傑作の証拠だと個人的には思っていたり。
予算がないのかすごいチープな作りをしていますがこれは監督とか脚本の腕がすごい。
映像化不可能と言われ続けたのも頷けます。

さて、脱線をしたので本の紹介に戻ります。
あらすじの説明はアマゾンのリンクがあれば要らないのではないかと思っているので特にだらだら書きません。
この作品のすごいところは真相が解った瞬間に自分のアホさに吃驚する所ですね。
なんであんな堂々と真相が書いてあるのに見抜けなかったんだろうと凹むことうけあいです。
私はDVDを見て真相を知ってから読んだのでトリックに驚きはありませんでしたが
読み終わったあとに2chのスレとかにいくと「おーあれ伏線なんだ」となるような部分がものすごい数揃っています。
それを知ってからもう一度DVDを見ると……。


本格ミステリの「二周目」を読む意味というのは「真相が唐突過ぎて理解不能だった」ということが多いと思います。
よく感想で「二周してやっと意味が解りました!」というのを見かけるのですが、それはアメリカンジョークを解説されてから笑うのと同じでミステリをまったく楽しめていないと思います。
本格ミステリの二周目を読むのは、真相を完全に把握した上で作者の仕掛けた数々の罠と手がかりをせっかくだから全部見ておこうという、なんというかボスを倒したダンジョンの隅々を回って宝箱を開ける行為に近いものがあります。真相を理解するのに二周読む必要のある作品は「驚き」が著しく不足していると思います。
その点、この作品は安心してオススメ出来ますね。一周したらOKです。真相は簡潔に、しかし大きな意外性を持って。