もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読

 投稿予定から大幅に遅れて申し訳ありません、ロッテという者です。紙ベースでの書評では堅苦しい感じなのですが、ウェブ書評では少々「素」を出していきたいと思います。ということでちょっと乱暴な言い回しが出てくると思うのですがご理解ください・・・

 今回読んでみたのは『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』という非常に題名が長ったらしい本です。普段東野圭吾伊坂幸太郎を読んでる自分としては普通読まない本をチョイスしてみました。決して表紙のかわいい女の子を見て選んだわけではないですよ?いや嘘じゃないですって(笑)
 ではなぜこの本を選んだのかというと、一つは書店で見た時に平積みされていたから。そしてこちらの理由が大きいのですが、この書籍がiPhoneのアプリとして出されていたからです。今年の二月に携帯を変えてからは携帯いじっている時間が一番ひどい時はもはや女子高生レベル。アプリとはiPhoneにダウンロードできる追加機能の様なものですが、この書籍が本の半額である800円でダウンロードできました。その感想は後で。そんでもって肝心の感想なのですが・・・


正   直   ひ   ど   い

…かなりざっくりいってしまいました。話の流れとしては題名通り主人公の川島みなみが女子マネージャーになって、弱小の野球部を四苦八苦しながら『マネジメント』からのヒントを得て野球部をどんどんいい方向へと導いていく...というもの。正直これで物語のほとんどを語れてしまうんですよえぇ。
 そもそも『マネジメント』ってどーゆー本なのよ、ってなわけで調べてみるとピーター・ドラッカーという経営学の第一人者が1974年に著した本。この小説の引用を見る限り、人事や組織といった経営論について書かれた本のようです。野球部の女子マネと小難しい経営論の本を結び付けるという発想は面白いと思いました。ある会社員がマネジメントを読んで...という話なら思いつきそうですが、経営とは全く関係ない学生の部活と組み合わせたのは既にマネジメントを読んだ人でも新鮮味があるかもしれません。

 しかしストーリーと描写がひどい・・・。まず登場人物の動きがほとんど「〜した、〜だった」という過去系の連発。読んでいて味気がなさ過ぎて泣きたくなってくる。少し文を書くのがうまい小学生の方がもうちょっと織り交ぜてくるんじゃないのか?というレベル。そして季節や周りの風景といったものもほとんど描かれていないので脳内補完率90%(もっと高いか?)。小説というよりはハウツー本なのである程度は仕方ないと思いますがさすがにこれはないだろ...特に過去系の連発は勘弁してほしかったorz

そしてストーリーもほとんどひねりがない。マネジメントからヒントを得て選手や監督を良くしていくと言っても、やっていることを見ると「え?ちょっと考えれば思いつきそうなことじゃない?」ってことが中にはあるし、病弱なマネージャーとかありきたりだろそれってツッコミたいし、主人公の黒歴史みたいなものは結局後半まで引っ張るほどたいしたことないし…作者はあれでストーリーに変化をつけたつもりなのだろうか。正直『マネジメント』を直接読んだ方が分かりやすいんじゃないの?

 そして理解できないのはアプリのレビューでは高評価、アマゾンのレビューでもそこそこ高評価なこと。アマゾンの方は上記と同じ様なレビューも見られますが…この本で泣けるって人は笑点見ても感動して泣いてるんじゃないだろうか。

 本についてここまでボロクソに言ったのは初めてです。ここまでひどく言われるとかえって読みたくなる人もいるんじゃないでしょうか。しかし立ち読みで済ませた方がいいです。第一章読めば見切りつけられるので。1600円を捨てることはありません、千円札燃やして成金気分を体験した方が得です。しかし電子書籍としての可能性は感じました。思った以上に読みやすく値段も紙ベースの半分。一つの端末に何十、何百といった単位で持ち運びができる。バッグのスペースも重さも取りません。五年、十年と言わず二、三年で電子書籍はどんどん進出していくのではないのでしょうか。これに気付けたことが今回得られた一番の収穫です。