ボトルネック

鬱です。
激流のように二十歳を迎え、友人には彼女ができ、迫りくるクリスマスに怯え竦みながら、盛り下がる気分を音楽でも聞いて持ち直そうとiTunesを開けばGARNET CROWは失恋ソングを歌うばかり。
そんな中で読んだ米澤穂信・著「ボトルネック」は私の気持ちを加速度的にへこませました。
というわけで再び穂信さんで申し訳ないのですが、今回は「ボトルネック」の紹介です。読了後、こっちのほうが「インシテミル」以上に毒文庫にふさわしいと思いました。おそらくこの本を読んでへこまない10〜20代はいないでしょう。確実に歪みますよ、精神。

二年前に崖から落ちて死んだ彼女を弔いにきた主人公はそこで強いめまいを感じ崖から落ちてしまう。ところが目を覚ますと住んでいた町に戻っていた。しかしそこは少し様子がおかしい。そこは彼の生まれなかった世界の町だった。

そんなお話です。
この話は苦しいです。とにかく苦しい。苦しくて、悲しい。終盤はどうにもならない閉塞感でいっぱいです。どこにも逃げ道がない。本当に。まったくないです。

最も辛辣なのが、その苦しさを誰のせいにもできないことです。もしそこにわずかでも悪意があったなら、ここまでの悲劇にはならなかったと思います。誰かのせいにする余地があったら、こうも辛辣な運命にはならなかったと思います。
終盤に向けての濃厚な伏線もまた、彼の悲劇を引き立てます。穂信さんは本当に終盤の盛り上げがうまいです。

最近はいろいろな泣ける話がありますが、こういうタイプの泣ける話は少ないと思います。同作者の「さよなら妖精」と併せて読むと、二日間は学校行きたくなくなると思いますよ。
ぜひどうぞ。

Text by 蓬莱ニート